インプラントってどれくらいもつの?インプラント周囲炎とメインテナンスの重要性
インプラントを失う主な原因として、インプラント周囲炎が挙げられます。インプラント周囲炎は、インプラント周囲の骨や軟組織に炎症が生じる病気で、進行するとインプラント体を支える骨が溶け、インプラントが脱落することがあります。
本コラムではインプラント周囲炎について詳しく解説し、インプラント治療後のメインテナンスの方法をご紹介します。
インプラントはどれくらいもつ?
当院でインプラント治療をされ、定期的にメインテナンスを受けていただいているほとんどの患者様が10年、20年、長い方は30年以上問題なく使用されています。
ただし、インプラントを長期的に使用するためには、適切なセルフケアと定期的な歯科医院でのメインテナンスが欠かせません。
インプラント周囲炎とは
インプラント自体は人工物のため、感染や炎症は起きません。しかし、インプラントを埋入した骨や、歯肉などの軟部組織が炎症を起こす可能性はあります。
インプラントの人工歯部分に歯垢や歯石がついたまま放置すると、歯垢や歯石の中で細菌が増殖します。その増殖した細菌が放出する毒素により歯肉が炎症し、インプラント体を埋め込んだ顎の骨が溶けたり、インプラント自体の脱落に繋がります。これを「インプラント周囲炎」と呼びます。
その他、以下の原因でもインプラントを失う恐れがあります。
・咬み合せの変化による過重負荷
・事故などによるインプラント体の破折
いずれの場合でも、早期発見・早期治療が大切です。
インプラント治療後のメインテナンス方法
インプラントを失うリスクを下げるためには、インプラント治療後も定期的に歯科医院に通い、適切なメインテナンスを受けることが重要です。ホームケアだけでは落としきれない歯垢や歯石を取り除くクリーニングやブラッシング指導を受けましょう。
インプラント治療を受診する際は、日本口腔インプラント学会認定衛生士や日本歯周病学会認定衛生士が在籍する歯科医院を選ぶと安心です。日本口腔インプラント学会認定衛生士とは、日本口腔インプラント学会より認定を受けたインプラント専門の歯科衛生士のことです。当院や認定衛生士の在籍する歯科医院では、インプラント治療後も専門的なメインテナンスを行います。
Q1:インプラント治療後のセルフケア方法を教えてください。
A1:歯ブラシの毛先を、歯と歯茎の境目に当てるようにして優しく磨きましょう。歯ブラシが届かない場合には、歯間ブラシやフロスなども活用してください。なお、インプラントの被せ物は素材や形状により最適な歯ブラシやブラッシング方法が異なります。お悩みの際は一度ご相談ください。
Q2:インプラント治療後は喫煙を控えたほうが良いですか?
A2:喫煙はインプラント体と骨の結合や傷の治癒を阻害するため、インプラント治療の大敵といわれています。また、喫煙により歯茎の毛細血管の血流が悪くなるため、歯周病菌の感染によるインプラント周囲炎のリスクも高まります。インプラントを長持ちさせるためにも、インプラント治療を機に禁煙をご検討ください。
記事監修 医療法人明貴会 ⼭⼝⻭科医院 理事⻑ ⼭⼝ 貴史
■ 略歴
- 1982年 大阪歯科大学卒業
■ 所属学会