インプラントは最良のエイジングケアアプローチ
口は言うまでもなく生命の入り口です。健康に生きていくためには、安定した咬み合わせが必要になります。歯を失った方にとって、咬合の安定と咀嚼機能の回復は、何より健康を保つこと、そして若々しく生活するために重要なことです。
歯を失った部分に対して機能を十分に回復する手段として、インプラント治療が最も望ましいといえます。
例えば全ての歯を失った方が総義歯にすると、咀嚼能率は約30%回復します。咬合は安定するので、総義歯による治療でも有効です。
インプラント治療は固定式の人工歯が装着され、咬み合わせる力も咀嚼率も天然歯と限りなく回復さえることが可能です。審美性も良く、外見上天然歯に限りなく近づけることができます。
食事の際に50回咀嚼することを勧めています。歯ごたえのあるものをしっかり噛めば、すぐに50回くらいは達成できます。しっかり咀嚼することで、脳、特に前頭前野と呼ばれる高度な知性を司る部分に血液が送り込まれることが知られています。これにより脳を活性化し集中しながらリラックスするとういう、一見相反するような事象が起こります。若い人はもちろん高齢の方にも効果的で、認知症の予防や改善が期待されています。
また、咀嚼はリズム運動ですから、セロトニン神経を刺激し、神経伝達物質であるセロトニンの分泌を促進します。セロトニンは不安感や恐怖を和らげ、メンタルの安定に必要な物質です。
当院にも抗鬱剤としてSSRI(選択的セロトニン再取り込阻害薬)を処方されている患者様がおられます。SSRIは体内のセロトニンの吸収を防ぎセロトニンを増やす薬です。薬は副作用がありますから、どのようなものでも必要最小限の摂取が望ましいでしょう。そのため、薬に頼らずセロトニンを増やすためのにも、しっかり咀嚼できる口を作るとともに、納豆や味噌、醤油、チーズなど、トリプトファンというセロトニンの材料にあるアミノ酸を含む食品をバランスよく食べることも大切です。さらにリズミカルな運動が良いこともわかっています。
歯を失い咬み合わせが崩れたまま放置していると、転倒のリスクが2.5倍になるという厚生労働省研究班による報告もあります。高齢になって転倒すると骨折の恐れが高まりますが、咬み合わせを回復すれば総義歯であってもバランス感覚や運動能力も戻り、転倒のリスクは減少するのです。固いものを噛むと顔まわりの筋肉も使いますから、顔貌も若々しくなります。
失った歯の本数が多いほど、栄養摂取、運動能力、バランス感覚、顔貌の変化、肩こりや腰痛などの不調和が生じます。すなわち、歯を失った方が行わなくてはいけないエイジングケアアプローチこそ、咀嚼率が限りなく天然歯と近く回復さえることができるインプラント治療なのです。
これは、加齢に対抗する強力な武器になります。