8020運動とオーラルフレイル
皆さんは、8020運動という言葉を聞いたことがあるでしょうか?おそらく、ほとんどの方が耳にしたことはあるのではないかと思います。「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」。80歳で20本の歯が残っていれば、食生活にほぼ満足することができるといわれたことから、1989年(平成元年)より、当時の厚生省と日本歯科医師会が推進してきた運動です。
提唱から30年。8020運動は広く国民に浸透し、2016年(平成28年)の厚労省の調査では、8020達成率はついに50%を超えたことが明らかになりました。
運動開始当初の達成率は7%程度。約30年で50%にまで上がったという事は、それだけ国民の歯に対する意識が向上した結果であり、これからの超高齢化社会においては非常に有意義な事です。
しかし、8020が達成されていても、それがうまく機能できない高齢者も増えてきているのです。それは「食べる」という行為が、決して歯だけで行われているわけではないという事。口から食べるということは、唇・頬・舌・喉など歯以外のお口まわりの機能がしっかりと働いて、初めて美味しく「食べる」ことが可能になります。
フレイルとは身体の衰えという意味ですが、今、フレイルとオーラルフレイル(口腔機能の衰え)との関係性が密接であることが明らかにされつつあります。お口の機能が低下し、食べこぼし、むせ、滑舌の低下、口腔乾燥などの症状が進行することで、食生活だけでなく、社会生活にも影響が及ぶと考えられています。
これからの歯科医療は、歯を守ること、口腔機能を守る事、8020運動と同時にオーラルフレイルという考え方も加え、健康長寿をサポートしていかなければなりません。皆さんもお口と身体の関係性が密接であるということを覚えていただき、気になることがあれば、どうぞお気軽に私たちにお尋ねください。